サイトリニューアルや新規制作のとき、意外と頭を悩ませるのが「お問い合わせフォーム」の設置方法ではないでしょうか。
ひと昔前までは、PHPで自作する方法や、WordPressのプラグインを使う方法が定番でした。
ところが最近は、PHPのバージョンアップに伴う動作不良や、年々巧妙化するスパム攻撃など、フォーム周りで発生するトラブルや保守の手間が確実に増えています。
そこで今回は、当方フリップフロップが普段のHP制作で実際に採用している「現実的で安全」なフォーム設置の選択肢を、制作者目線で整理してみました。
これから案件で迷われている同業の方はもちろん、自社サイトのリニューアルを検討している担当者の方にも参考になればうれしいです。
1. なぜ「自作PHPフォーム」は今、リスクが高いのか
かつて主流だった自作PHPフォーム。
シンプルで自由度が高い一方、現在の制作環境では2つの大きな壁があります。
① サーバー環境(PHPバージョン)の変化
レンタルサーバー各社では、セキュリティ上の理由から古いPHPバージョンが順次廃止されていきます。すると、何年か前に組んだフォームが「ある日突然動かなくなる」ということが起こります。
実際フリップフロップでも、過去案件の保守でPHPバージョン切り替えのタイミングに合わせてmb_send_mail周りの記述を書き直したり、非推奨になった関数を置き換えたりといった対応が発生しました。「リニューアル前は普通に動いていたのに!」というクライアントからのご相談、その多くがこれを原因としています。
② スパム対策・保守コストの増大
フォームを公開した瞬間からスパムbotとの戦いが始まります。reCAPTCHAの導入、ハニーポットの設置、送信内容のバリデーション……対策はいくらでもありますが、その分コードは複雑になり、保守のコストも上がります。
「制作費は抑えたいけど、納品後にトラブルは出したくない」。
この相反する要望に応えるための答えが、今や 「フォームの機能そのものを、信頼できる外部サービスに任せる」 という考え方になっています。
2. 当方が実際に使い分けている3つの選択肢
ここからは、当方が実案件で使い分けているフォームサービスを3つご紹介します。それぞれ得意分野が違うので、案件の性格に合わせて選ぶのがおすすめです。
① デザインを完全コントロールしたいなら「SSGform」
サイトのデザインに完全に馴染ませたい、でもサーバーサイドのコードは書きたくない。そんなときに重宝するのが SSGform のようなヘッドレス型フォームサービスです。
- 特長:フォームのHTML/CSSは自分で自由に組めるので、サイト全体のトーン&マナーを崩しません。
- 安全性:メール送信処理はサービス側のサーバーで完結するため、クライアントのサーバーがスパムの踏み台になるリスクを回避できます。
- 制作者目線のメリット:静的サイト(SSG)やJamstack構成との相性が抜群。HTMLを書ける制作者にとっては、もっとも自然な選択肢です。
SSGフォーム公式サイトはこちら→https://ssgform.com/
② 予算重視・最大の安心感を取るなら「Googleフォーム」
予算を抑えたい、かつ運用面での安心感も欲しい。そんな案件で頼りになるのがやはり Googleフォーム です。
- 特長:無料で使え、集計はスプレッドシートで一元管理。Google Workspaceを導入済みのクライアントならさらに親和性が高いです。
- 安心感:「天下のGoogleが管理しているフォーム」という事実は、エンドユーザーから見ても送信のハードルを下げてくれます。
- デザインのコツ:デフォルトのまま埋め込むと「とってつけた感」が出てしまうので、ヘッダー画像をサイトのトーンに合わせて差し替えたり、iframeの幅・余白を調整するだけでも、見栄えは大きく変わります。
Googleフォーム→https://workspace.google.com/intl/ja/products/forms/
③ 顧客管理まで踏み込むなら「formrun(フォームラン)」
「フォームを設置したあと、問い合わせ対応もちゃんと回したい」というクライアントには、専門のフォーム作成サービスが強力です。代表的なのが formrun です。
- 特長:届いたお問い合わせを「未対応 / 対応中 / 完了」のようにカンバン形式でステータス管理できます。
- おすすめのシーン:複数人で問い合わせ対応する事業者さん、リード(見込み顧客)管理を意識し始めた中小企業さんに刺さりやすいです。
- 制作者目線のメリット:単なるフォーム設置ではなく「業務改善の提案」として組み込めるので、提案の幅が広がります。
3. よくある疑問:スパム対策(reCAPTCHA)はどうするの?
外部サービスを使ううえで大きな恩恵を受けられるのが、この スパム対策 の部分です。
自作フォームの場合、reCAPTCHAをサイトに組み込むには:
- Google reCAPTCHAでサイトキー・シークレットキーを取得
- HTMLにスクリプトを埋め込み
- サーバーサイドで検証コードを実装
- バージョン(v2/v3)に応じた挙動の調整
……といった一連の作業が必要でした。これが、外部フォームサービスを使えば ほぼゼロ になります。
たとえばGoogleフォームを埋め込む場合、Google側のシステムが不審な送信を自動で検知・ブロックしてくれるため、こちらでキーを取得したり検証コードを書いたりする必要が一切ありません。「制作工数を削れる」「クライアントへの説明もシンプルになる」と、いいことづくめです。
4. クライアントへの説明のコツ
制作者として外部サービスを提案するとき、クライアントから出てきがちな質問が「結局、何が一番いいの?」というシンプルなものです。当方では、目的別にこんなふうにお伝えするようにしています。
- コスト・運用の手軽さを最優先したい → Googleフォーム
- サイトのデザイン性を崩したくない → SSGform
- 問い合わせ後の対応業務まで効率化したい → formrun
「サイトと完全に色合いを合わせたいか」「届いたあと、社内でどう扱うか」。この2点を聞くだけで、自然と最適解は絞れていきます。
まとめ:リニューアル成功の鍵は「持続可能な運用」
最新の派手な技術にはどうしても目が行きがちですが、Webサイトにとってもっとも大切なのは「数年後も、安全に・安定して動き続けていること」だと当方は考えています。
リスクを自社で抱え込まず、信頼できる外部サービスへ切り出していく。これは決して手抜きではなく、 クライアントの大切な資産を守るための、賢い設計判断 だと言えるはずです。
編集後記
実は今回の記事、当方自身がPHPのバージョンアップに伴うフォーム不具合に直面したことがきっかけで書きました。改めてSSGformやGoogleフォームの便利さを実感し、「作ること」だけでなく「数年後も守れること」を前提にした提案の大切さを再認識した次第です。
フリップフロップでは、HP制作はもちろん、フォーム周りの選定・保守も含めたサイト全体のご相談をお受けしています。「今のフォームがちょっと不安……」という方は、お気軽にお問い合わせください。

